「花のかたち(3) マトゥラー造形理念の展開 そして東へ」掲載解析図版
法隆寺遺品飛鳥仏に継承されたマトゥラー仏設計理論

八木橋司



解析図版
二つの仏像は同じ設計理論から作られている。救世観音菩薩立像(法隆寺/飛鳥時代)は五段連結であり、ジャマールプル出土仏立像(マトゥラーA5/インド グプタ時代)は三段連結である。基盤図形の成り立ちは解析図版の下に示してある。


法隆寺夢殿 救世観音菩薩立像
(飛鳥時代/7世紀)





ジャマールプル出土仏立像(ヤシャディンナ封建在銘 マトゥラーA5 グプタ時代/5世紀)







花のかたち連結構造の単位


右側の三段回縮小連鎖が連結構造の単位となる。これを垂直方向に複数連結させたものが下に示した「花のかたち連結構造」である。

花のかたち 単位図形 単位図形の二段回縮小連鎖 三段回縮小連鎖(連結構造の単位)



花のかたち連結構造
三段階縮小連鎖図形の連結によって得られる構造である。これが上のジャマールプル出土仏立像(グプタ時代)の基盤構造である。救世観音(飛鳥時代)の基盤構造はこれにさらに二段が連結したものである。






救世観音光背
図版が見にくいが、頭光同心円に一致が確認できる。





光背拓本からの同心円解析
救世界観音光背の拓本部分を基盤図形上に合成した図版を作成した。基盤図形側同心円の一段目と二段目は微妙なずれはあるもののシンクロしていると判断してよいであろう。三段目は光背側がやや小さめになっている。基盤図形側同心円の二段目に相当する光背側円のさらに直ぐ外の円は基盤図形側の重要な交点により規定されているかにも見える。







法隆寺金堂釈迦三尊座像
基盤構造側3個の同心円と尊像頭光側同心円が完全に一致しているのが確認できる。上のジャマールプル仏立像頭光とこの釈迦三尊像頭光の主同心円は全く同じ比率で形成されていることになる。






天蓋

基盤同心円の最終の小円は天蓋側小円とは一致していないが、花弁の付け根を規定する円周には一致が確認できる。一段階目と二段階目の円は天蓋側に完全に一致している。







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